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NEC NECディスプレイソリューションズ
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ホーム > プレスリリース > 平成20年-2008

平成20年10月21日
NECディスプレイソリューションズ株式会社
日本電気株式会社

防塵防滴対応のコンパクトサイズ・密閉型パブリックディスプレイを開発

 NECディスプレイソリューションズ並びにNECは、このたび、密閉装置を冷却するための新技術「攪(かく)ファン排熱方式」の採用により、防塵防滴規格「IP54(注1)」に対応した、コンパクトサイズの密閉型パブリックディスプレイの開発に成功しました。

 NEC中央研究所が開発した「攪(かく)ファン排熱方式」は、装置内部の空気を攪拌(かくはん)して温度を均一化し、装置裏面のリアカバーに一体化された排熱器から放熱することにより、密閉装置を冷却する技術です。ゴミや埃、雨などの装置内侵入を受けやすい半屋外環境でもメンテナンスフリーで高信頼性・長寿命を実現できるほか、0℃~40℃の耐環境性や、装置のコンパクト化も可能にしました。

 今回開発した密閉型パブリックディスプレイは、NECディスプレイソリューションズの52型液晶ディスプレイ「MultiSync® LCD5220」をベースに、"One NEC"の開発体制により実現したものです。
  なお、この装置は、JR東日本研究開発センターフロンティアサービス研究所様の開発案件である、恵比寿駅ホーム上で行った、列車在線位置表示システムの検証実験で得られたデータを活かし開発したものです。今後は、フィールド試験を実施し、その結果を活かして、商品化を進めてまいります

<開発の背景>

 近年、業務用液晶ディスプレイの大型化と高画質化が進み、駅、空港等の運行表示や空席案内、ショッピングセンター、学校・企業のインフォメーション表示など、多種多様な公共場所で有効な情報を表示・発信する「デジタルサイネージ」市場が伸展しており、30型以上のパブリックディスプレイの需要が拡大すると見込まれております。
 NECディスプレイソリューションズも、パブリックディスプレイの商品開発に注力しておりますが、防塵対策上で大きな開発課題となっていたのが、バックライトや制御部品、電源部品などが動作する時に発生する熱の冷却方法でした。

 装置内で発生する熱による装置品質への悪影響を防止するため、従来は、周囲の冷たい空気を取り入れる吸気/排気用の通風口を設けて、部品を冷却する方法を採用しておりましたが、空気中のゴミや埃も、この通風口から装置内に侵入するため、仮に導電性を持つゴミや埃が侵入した場合、部品間の電気ショート等、重大な問題を起こす可能性があります。また、メンテナンスを含めて、製品寿命や信頼性の低下も課題となっておりました。このため、完全密閉されたパブリックディスプレイの開発が望まれておりましたが、信頼性を維持するための冷却方式の実現が不可欠でした。
  そこで、PCの冷却方式の開発などで実績があるNEC中央研究所と共同で研究開発を進めた結果、今回の密閉型パブリックディスプレイの開発に成功しました。

<攪(かく)ファン排熱方式の主な特長>
(1) 空気攪拌誘導による温度均一化、メンテナンスフリー化を実現

■密閉装置内の温度均一化
 密閉装置内の温度を均一化するため、空気誘導ダクトを採用しました。空気誘導ダクトは、装置内に点在する熱源から発生する熱を2箇所の空冷ファン(以下、攪拌ファン)に集めて、装置内部の空気を循環させます。この空気攪拌誘導により、密閉装置内の電子部品温度や空気温度の均一化が可能になりました。

■メンテナンスフリー化
 空気攪拌誘導の手段として、60℃の周囲温度で期待寿命20万時間(24時間フル稼働で約22年間)の長寿命攪拌ファンを採用しました。このたび開発した密閉型パブリックディスプレイは、攪拌ファンの故障原因となる空気中のゴミや埃が装置内に侵入しないため、長期間のメンテナンスフリー化が可能になりました。

(2)高効率な排熱により完全密閉装置の熱問題を解決

■密閉装置のリアカバーと排熱器を一体化
 密閉装置内側と外側にそれぞれ放熱フィン(注2)を設けた"Wフィン構造"の排熱機構(以下、熱交換器(注3))を、密閉装置のリアカバーと一体化することにより、コンパクト化を実現しました。
  装置内の熱は、熱伝達(注4)によって装置内部の放熱フィンから装置外部の放熱フィンへと伝わり、装置周辺の自然対流で冷却されます。装置内部は、攪拌ファンにより十分な空気速度が得られるため、放熱フィン数を増やして冷却効果を高めています。

■パネルベゼル冷却を採用
 液晶パネル面へのゴミや埃の付着に起因する画質不均一性、長寿命化の妨げ、外的な衝撃による液晶パネル破損など、商品性低下の問題を解決するため、液晶パネル面を低反射アクリル板で保護して完全密閉性を実現しました。アクリル板は熱伝導性が悪いため、液晶パネルとアクリル板の隙間の空気層に熱がこもりますが、CCFLバックライトの放熱経路を解明し、パネル筐体側面に一体化された排熱器を備える”パネルベゼル冷却”を採用することで問題を解決しました。このことにより、液晶パネルの温度低減が可能になり、幅広い温度環境下(0℃~40℃)で500cd/cm2以上の高輝度を実現しました。

 NECディスプレイソリューションズは、今回の完全密閉装置の冷却技術を製品の信頼性向上、長寿命化、コンパクト化のための差異化技術と位置付け、様々な設置環境に対応できるよう、今後も課題解決に向けた技術開発に取り組んでまいります。

 

以上


<補足説明>

(注1) IP54 IEC(国際電気標準会議)の定める529規格と米軍のMIL(国防省軍用規格)の810Fがある。IECのうち、水や異物侵入の保護等級を定めたのがIP(International Protection)で、「IP54」の「5」は「粉塵が内部に侵入しても正常な動作を阻害しない」レベルを、「4」は「水の飛沫に対する保護」レベルを指す。

(注2)放熱フィン 発熱する機械・電気部品に取り付けて、熱の放散によって温度を下げることを目的にした部品。

(注3)熱交換器 温度の高い物体から低い物体へ効率的に熱を移動させる機器で、液体・気体などの流体を扱うものが多い。熱の段階的利用や回収による省エネルギーのため、積極的な導入が求められている。

(注4)熱伝達 固体表面と流体(液体や気体)との間で熱が伝わる現象を指す。今回、筐体内で暖められた空気の熱を、筐体背面に伝える部分に熱伝達方式を採用している。

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